STAYING いらっしゃませ



ドアを開けた瞬間、「懐かしい」と思った。

この日、泊まったお客さんは私たちを含めてたった二組。
旅館というより、民家の一部屋を間借りした、といったほうが適切かも。
部屋には洗面台もトイレも風呂もない。二人だけなのに、宴会場に使われそうな部屋を案内してくれた。
広いだけに、ぽつんと置かれた机と座布団が若干寂しく見える。でも寝転がるにはもってこい。何回転もできる。
夜は部屋が広すぎて暖房が行き届かない恐れがあるため、隣の小さな部屋も用意してくれた。
とても贅沢な気分だが、夜の廊下は、厚い古いカーテンで隠された部屋に挟まれて怖かった。ギぃーーギぃーー、どこからか聞こえてくる建物の音。
もっと大勢で泊まったらこの音さえ楽しめるはずなのに。

夕食の時に面白いハプニング発生。

食堂に入ったら、すでに刺身や火を待つ鍋などが置いてある。座って楽しみながら待っていたら、「ドカーン」、でかい音がした。
一瞬の出来事だったので、びっくりして声も出なかった。

なんと、天井に付いたライトのカバーが壊れて、片方が落ちそうになったのだ。もう片方のおかげで、かろうじて天井につながっている。
カバーのいたずらが大量な埃を連れてきた。目の前、白い霧がかかっているようで、おかずの上にまぶした。
爆音の後、友人と視線が合ったとたん、二人とも大爆笑。旅館の方は誰もいなかった。
次のおかずを持ってきた際にも、私たちが指を指すまで気づかなかった。謝りながらすぐ取り掛かっても直らなかったので、おしぼりとお箸をもって場所移動へ。また贅沢を味わった。今度は本当に宴会場に使われるところ。
愛情を込めて作ってくれた料理がもったいないので、明らかに灰色になったもの以外はおいしくいただいた。

この旅館へはもう一度訪れたいと思う。
なんだか不思議でいい意味で昭和へのタイムスリップを体感させてもらえた。
建物も、そして人情も。
大女将さんは可愛い、とても可愛いおばあちゃんで、「おにぎりおばあちゃん」と勝手に愛称をつけた。なぜなら、正座してお辞儀する姿は小さい三角形のおにぎりにぴったり似ているから。掌に載せたくなる愛しさ。ゆっくり話して、動きもスローモーションになったけど、周りへの指示とお客さんに対する言葉遣いから、昔はきっとてきぱきとこの旅館を仕切っていたととっさに感じた。
私たちも深々とお礼を言って、楽しい思い出を残せたことに感謝する。

下駄箱からも、またおいでね、って。



「歡迎光臨」

開門的一瞬間,有種熟悉感油然而生。

下榻的旅客加我們只有兩組。這裡說是旅館,不如說是一間佔地廣闊的民宅,而我們借住其中一間。
旅館人員引領我們到了今晚的房間,拉門一打開我們都小小驚呼了一聲,是可以容納好多人的大通鋪呢!非常適合打鬧翻滾,要滾幾圈都沒問題。但這偌大的空間也讓放在窗邊的茶几和坐墊顯得有些孤單。
和室房內沒有洗手台,也沒有衛浴設備。晚上旅館人員擔心房間太大以至於暖氣無法送到每個角落,還特地準備了隔壁小房間讓我們睡覺。貼心的小驚喜。
只是因為廁所洗臉台等的都在房外,要穿過夜晚的走廊還是有點令人膽戰心驚。兩旁沒在使用的房間皆用厚重褪色的窗簾遮蔽起來,晚上看更添增詭譎的氣氛。
不知道從何處傳來的唧唧聲,像是建築物本身的低語,這要是一大夥人的同伴就不怕了。

晚餐時發生了一件有趣的小插曲。

當我們走入飯廳,坐下並興奮地看著已經擺出來的生魚片和等待點火的小火鍋時,突然一陣巨響,一瞬間嚇得我們心臟漏拍。
原來是天花板的燈罩有半邊脫落了,只剩另一邊的螺絲勉強支撐著。這燈罩的大移動帶來了大量灰塵,眼前有如白霧繚繞,細細地灰白撒在飯菜上。
回過神來和友人對上視線後,我們都不禁笑了出來,太不尋常的偶發。當時沒有旅館人員在場,在他們送料理進來後也沒有發現,直到我們默默地比了比天花板。
工作人員連忙道歉並搬來椅子修理,但似乎徒勞,於是我們端著茶杯轉移陣地。竟然讓我們到宴會廳吃飯!好奢侈的享受。
不想浪費旅館人員精心準備的料理,所以除了那些明顯變成灰色的飯菜之外,其他可是津津有味地吃光。

這是一家我還想再次造訪的旅館。
彷彿穿越時光般地,體驗了記憶深處的昭和年代。懷舊的建築及人情味。

這家旅館的老闆娘是一位非常非常可愛的老婆婆。我擅自取了「御飯糰婆婆」的暱稱。因為婆婆正座彎腰行禮的模樣,像極了三角形的飯糰,讓人想拿起輕放在手掌上捧著。
雖然婆婆的一舉一動都緩慢,但從她的用字遣詞和對周遭的指令來看,想必以前是十分精明能幹的管理者。

我們也深深地道謝,記憶已對這裡留下了特別情感。

聽,鞋櫃也在輕聲喊著 「下次再見。」

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