POSSIBILITY 電話占い 1
プルルルル
プルルルル
「今〇〇先生とおつなぎ致します。このままお待ちください 🎵〜」
緊張
ドキドキ
何回も手元のメモ帳に目を落とした。
箇条書きされた質問は約10問。
音楽のメロディは
無機質のカウントダウンにしか聞こえない。
どうしても知りたい。
相手の気持ち、2人の可能性、今後の迂回
1秒、2秒、3秒
「こんにちは、〇〇です。」
電話口から若い女性の声が聞こえた。
「あ、先生、おはようございます。△△です。」もともと電話が苦手で、急に知らない人にお悩み相談をするのは、やはり少しハードルが高い。まして分給なので、簡潔に話さないと費用が高くなる。
占い師Aとしよう。
占い師A:「今日はどうなさいましたか?」
私:「好きな人の気持ちと、2人の可能性を見ていただきたいですが…」
占い師A:「はい、分かりました。では、△△さん、目を閉じて、あの方を思ってください。あの方の守護霊に聞いてみますね。」
先生の声がとても可愛くて優しい。年齢は私より下かもしれない。
10秒か20秒くらい経過したのかな
待っている間は自分の心臓のドクンドクンの音しか聞こえない。
占い師A:「△△さん、お待たせしました。うんん、彼は△△さんを恋愛の対象として見ていないです。お2人は友人の関係ですね。」
私:「そ、そうなんですか…」落胆した。頭がこの情報を緊急速報として処理してる。「今後変わる可能性はありますか?」
占い師A:「お2人の前世も友人だったので、今回も友人関係としかならないんです。諦めたほうが△△さんのためにもいいかと思います。」
私:「…」脳内の警報アラームが鳴りっぱなし。
あり得ないわ!だって、私に見せた優しさ、思いやり、あれは脈アリのサインじゃないの?友達に対してそこまでやるの?
占い師A:「ごめんね、聞きたい答えじゃなくて」私のがっかりを察して、占い師さんが申し訳なさそうに言った。
連絡の頻度や内容など、用意しておいた質問で粘ったけど、占い師さんは友人の一点張り。
私:「分かりました。今日ありがとうございました!」
占い師A:「△△さんの幸せをお祈りします。」
返事せず、私は電話を切った。
10分間
2400円
の通知が届いた。
なによ、この先生全然見えてないわ!
みんなの口コミでは当たりが多かったのに。
何が友人関係!
早く起きて待機して損したわ。
お金の無駄!
朝早々気分を害された。
感想はこれしかなかった。
そうだ、
占い師Bのほうがいいかも。
プルルルル、プルルルル
何かに憑かれたように、ペンとメモ帳を用意して、躊躇なくダイヤルした自分に変わる。
電話つなぎの音にもう緊張などなにも感じずに、早くさっきのを払拭したかった。
理性が働いていない。
気付いたら
半日で5人以上の占い師に電話した。
そして明日もまたやってくる。
私の不安と独占欲。
恋の未来は、いろんな人のチャネリングで決まっていた時期。
半々の確率で。
★
(中国語無)
Sony A7ⅱ