2 FLIPPING 跳躍

本日のお客様

   想像力豊かな子供
   観るすなわち現実 すべてが可能

ドアが押され、入ってきたのが10歳前後の女の子
どうやらお一人らしい

オーナーはカウンターの後ろから顔を出して

「えい、いらっしゃいっ、お好きな席へどうぞ」

女の子はくりっとした目で店内を見まわして

窓際の席
カウンター前の席
一番奥まった席

ぴょんぴょんと回っている

座って椅子の感触をチェックしたり
食事中の自分を想像してみたりする女の子を
オーナーは面白がって見ている
どの席も気が進まないらしい

最終的にど真ん中の席を選んだ

テーブルに置いたメニューを手に取って

席選びからきっと料理選びにも時間がかかるだろうと思ったら
パッと食べたいものを決めてくれた

<旬の彩り野菜と魚のソテーマリネソース>をオーダー

ヘルシー嗜好だね
オーナーは思った

料理を作っている際
オーナーはいつもキッチン台と焜炉に夢中になるが
ひょんなはずみで女の子がいるほうへ視線を配ると

いつの間に女の子が
綺麗で上品な女性になっていた
30代かな

店内に流れている、オーナーが一人酒の時にかける
超渋い演歌を聞きながら
体を小振りに揺らしてリズムを取っている
聞いたことがおそらくないであろうにもかかわらず
鼻歌で追っかける
歌詞からどんな恋愛の物語を描いたのかな

オーナーは微笑みながら調理に戻った

料理を出した時に、間近で女性を見た

清楚で芯が強く
そして応援したくなる可愛らしさを持つ人という印象を受けた
パッチリお目目をさらに開いて料理に感動してくれたのが嬉しい

マリネソースをたっぷり漬けたカジキを口に入れた瞬間
女性が学齢前の幼児に変わった
目の前の食事に興味津々
この美味しさは何と何の調合でできたのか
さらに言えば
魚はどんな生き物なのか
なすびはなんでこの形なのか

食べながら頭を傾げて目を閉じたり
あらゆる可能性を創り出した

その後も
コーヒー、デザートを出すたびに
女の子の姿が変わる
グレイヘアの婦人だったり 艶やな高校生の年頃だったり
ページがぐちゃぐちゃになった自叙伝を閲覧しているみたい

会計時にオーナーは思わず聞いた
店内に入ってからは何を考えているのか、と

その瞬間その瞬間の感情を味わって
最適な場面と主人公を作り出しているわ
脳内にすぐセットができたから
私はその役になりきって楽しむ

ほー
観ることすなわち現実なのか

オーナーは納得した
想像力に制限をかけない人なんだね

結局この女の子はませている子供なのか
子供心をいつまでも持っている純粋な大人なのか
店の外まで追っかければ答えが分かるのだが
オーナーはそれをやらなかった
お客さんのプライバシー侵害だし
カウンターから出て 迷宮のような配置をしたテーブルをすり抜けて
ドアまで行く体力もない

このお客さんがいる時の空間と時間の推移が好き
殆どのお客さんの時間は流れるように
現在から未来へ
あるいは
現在から過去へ

どちらがよいか悪いかのではなく
ただこのように
あちこち飛び回るのが珍しい
眺める側まで世界を探求する好奇心が湧いてくる

知ることへの欲求
想像することへの冒険
突進する勇気
全く関係ない世界たちをつなげる奥深い教養

オーナーは気持ちよい余韻に浸かって
今日はもう店を閉めようかなと思った

売り上げは?
そんなモン気にしてない
生きる糧は今日充分いただいた
満足だ



「跳躍」

今日的顧客
 想像力豐富的小孩
  點石成金 無限可能

推開門,一位年約十歲左右的小女孩走進來
似乎只有她一人

老闆從櫃檯後面探出頭喊道:

「歡迎光臨,可以挑喜歡的位子喔」

女孩轉動烏溜溜的大眼睛,掃視著店內

靠窗的位子
櫃檯前的位子
最裡邊的位子

像小白兔似地在店裡繞來繞去

嘗試了每個座位
感受椅子的觸感
想像坐在那吃東西的自己

好像都沒有什麼決定性關鍵

老闆好整以暇地望著女孩,覺得有趣

最後她選了正中央的位子

拿起了菜單
本以為會跟選座位的時候一樣花上一會兒時間
沒想到女孩馬上就決定好想吃什麼

<清蒸田園時蔬與鮮魚佐油醋醬>

挺注重健康的嘛!
老闆想著

老闆通常會將全副精力放在爐火及烹煮上
今次也不例外,只是不經意地抬頭往女孩的方向一瞥
不知道什麼時候
女孩竟變成了一位氣質高雅的女性
年紀大概在30歲左右

店內播放著老闆獨自喝酒時的必備演歌
女性隨著慢板的音樂擺動身體 腳踏著節拍
以她的年紀來說鐵定是沒聽過這些老歌的
卻哼著跟上旋律
她從歌詞中描繪出什麼樣的愛情故事呢?

老闆莞爾,繼續把注意力放回料理上

送菜時,終於有機會近距離觀看女性

乾淨舒服有自信,帶著令人心頭溫暖的可愛
她睜大亮晶晶的雙眼,感動於眼前的料理
看到這幕,老闆又再次揚起嘴角

當女性將沾滿油醋醬汁的旗魚放入口內時
頓時變身為學齡前的幼童
又轉動著她估溜估溜的雙眼
對所有食材充滿興趣
這個美味是由什麼組成,又是由哪個感官傳達到大腦的呢
魚是什麼樣的生物
而茄子為什麼是這形狀?

邊吃邊撇著頭 閉上雙眼
創造出各式天馬行空的答案

之後陸續上了咖啡 甜點
女孩的樣貌也一直轉變
灰髮繽紛的婦人 又或是光澤閃耀的高中女生
彷彿閱讀了一本頁碼亂編的自傳

結帳時老闆不禁問了女孩
進店後在想著什麼

女孩說

每一瞬間每一瞬間浮現出的感受
我都會搭配出一個最適合的世界和人物
腦中馬上就可以設計好場景
我只要盡情演出和享受就好

原來如此
女孩有點石成金的能力
沒有受制於世俗對想像力的界線

這女孩到底是早熟的小孩子呢
還是永保童真的大人
其實只要老闆追出店外就可以知道答案
但他沒有這麼做
畢竟這是客人的隱私
加上他也沒有體力繞過櫃檯並穿過像迷宮般的店內

老闆很喜歡這女孩在店內時的時空
大部分客人的時間都像是水流一樣連續
不是從現在到未來
就是現在流轉到過去
很少像女孩這樣跳來跳去的

倒不是說誰好誰壞
只是這是一個很特別的經驗
讓旁觀者也湧起了探索世界的好奇心

求知若渴
大無畏的想像
縱身一躍的勇氣
把不同世界串連起來的深厚教養

老闆沉浸在一股暢心的餘韻中
想著今天早點關門休息好了

業績怎麼辦?
哼那可不是什麼大事
今天這樣下來,已經取得足夠的生活糧食
真滿足

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